東京デザインセンター

日本デザインコンサルタント協会 (JDCA) レビュー

東京デザインセンターは、イタリアデザイン界の重鎮マリオ・ベリーニによる建築。まず正面から目に入るのは、ガレリア大階段が建物を斜めに横断し、階段奥へと視線を向けると、イタリアのトランス・アバンギャルディの活動でも有名なミンモ・パラディノの馬の彫刻を仰ぎ見ることになる。踊り場部分にはガラス円柱のエレベーターホールがあって、最上階では陽射しがまぶしいキューポラにつながっており、この設計コンセプトは建築物を垂直に貫通するシリンダーだ。またエレベーターホールを囲むカーヴしたグリッド構成は、ベリーニが最も強調している建築的要素なので是非見てほしい。
建物の背面となる庭園側には、列柱回廊とテラスをセットバックしながら6層重ねて、野外劇場装置のような空間が生み出されている。各層のテラスには、深紅のバラが植えられた73の大鉢がイタリア式に並び、背面の斜面に整えられた日本式庭園と呼応している。背面の緑をデザイン・ベースとして設計された東京デザインセンターは、大通りと庭園側の両面のファサードを持つ、とても贅沢な建物だと言えよう。

建築デザイン：Mario Bellini、実施設計：河津行隆、照明計画：面出 薫、サイン計画：朝永徹一
受賞歴：第26回SIGN Association AWARDシステム部門奨励賞、第11回ナショナル ライティング コンテスト入賞、第8回ショップ システムコンペティション入賞、第13回建築業協会賞、Gマーク施設部門