茶洒 金田中

日本商環境デザイン協会 (JCD) レビュー

設計を行った写真家の杉本博司はかつて骨董屋であり、いまもそうらしい。収集した文物の中には古代の建築の部材等があり、それらはおのずから空間的な想像につながるはずで、その結果、氏は現在、このような空間の制作を活動のひとつにしている。たいへん美しい空間であるがどこかヘンだ。古今の文物収集の記憶の幻視ようにも見える。つまりデザイナーが作る空間とは全く異なり、デザインの観点の外側でこしらえた事物、と言っていいような空間にみえる。
しかしこれがとてつもないものとも言い切れない。日本には茶室という荒唐無稽な空間があったのだから。

内装デザイン：株式会社新素材研究所 / 杉本博司、榊田倫之
受賞歴：JCDデザインアワード2014金賞