多摩美術大学 八王子図書館

日本デザインコンサルタント協会 (JDCA) レビュー

この図書館の大きな特徴のひとつは斜面敷地の1/20勾配に合わせて、1階フロアにも同じ勾配を持たせていることである。フリースペースとなっているアーケードギャラリーは学生や教員のバス停と各棟を繋げるもう1本の道となり、大学への行き帰りに自然と図書館に誘われる。
建物の2辺が曲面で構成され、そこに曲面ガラスが嵌め込まれた端正なフォルムと、その面を内部で覆うアーチは、内部空間ではランダムに重なり合うように見えてくる。2階の書架はそのアーチの森の間を流れるように続いていく。西側にはケヤキが列植され、2階の閲覧席ではあたかも樹木の懐に抱かれたように感じさせ、またケヤキの木々は西日をやわらげるという機能も併せ持つ。木漏れ日のような優しい陰影をつくるカーテンもまた、日射しをやわらげている。

建築設計：伊東豊雄建築設計事務所、家具デザイン：藤江和子アトリエ、カーテンデザイン：布
受賞歴：BCS賞2009