
- 日高国際特許事務所 所長 / 弁理士 / 知財訴訟代理人
- 京都工芸繊維大学大学 顧問
- 京都工芸繊維大学 未来デザイン工学機構 特任教授
- 金沢美術工芸大学講師
- 一般社団法人日本空間デザイナー支援機構 上席理事
- 日本デザインコンサルタント協会 監事
- グッドデザイン賞フェロー
専門分野 |
知的財産権、知的財産権の教育、ビジネスデザイン、ビジネスデザインの教育、知的財産権を活用したビジネス戦略、リスクマネジメント、事業・商品企画 |
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関連サイト |
略歴、プロフィール
金沢美術工芸大学 美術工芸学部 産業デザイン科 工業デザイン卒
通商産業省技官・特許庁審査官 通商産業省総務課長補佐(デザイン奨励班長)
1990年 日高国際特許事務所設立 弁理士登録
2004年 特定侵害訴訟代理業務付記登録
金沢美術工芸大学・武蔵野武術大学・首都大学東京・東京理科大学大学院・東京芸術大学大学院・九州大学大学院・芝浦工業大学・京都工芸繊維大学大学院等において知的財産権、ビジネスデザイン、リスクマネジメントの教育をおこなう。
「デザイン政策研究会」「デザイン産学連携契約研究会」等公共団体の研究会委員長等、京都工芸繊維大学理事、同大顧問。
グッドデザイン審査委員、東京ビジネスデザインアワード、次世代事業創出デザイン支援事業等審査委員を務める。
実績、ケーススタディ
知財とデザインの専門家の立場からデザインコンサルタントの役割を考える
知財の役割や重要性は、企業の経営方針に即した事業(商品やサービス)戦略や業界におけるポジションなど、さまざまな要因によって異なります。
企業にとって有効な知財を構築するためには、商品やサービスの分野を詳細に分析し、目指す方向性や将来性を見極めたうえで判断を行い、それらの情報を社内で共有し、具体的な事業展開のプロセスを設計することが求められます。
知財は、企業の目的を実現するための重要な支援ツールですが、企業の意思や戦略が明確でなければ、知財戦略を描くことはできません。つまり、知財は目的達成に不可欠な支援ツールである一方で、事業戦略がしっかりと構築されていなければ、後になって知財の脆弱性が露見します。そのため、事業戦略の決定プロセスは極めて重要であり、社内外の幅広い知見の収集・整理、そして情報の共有と的確な経営判断が必要不可欠です。
私自身、デザインと知財の専門家として企業にヒアリングを行う中で、事業戦略が曖昧であったり、そもそも未決定であったりするケースによく出会います。その結果として、知財戦略の検討を通じて商品戦略自体の見直しにつながることも少なくありません。こうしたケースにおいて、デザインコンサルタントの役割を考えると、専門的な知識・経験をもとに、人間的・社会的価値の観点から情報を集約し、コミュニケーションツールとして整理し直すことで、商品戦略の判断材料を提供することが求められます。さらに、私のようにデザインと知財の双方の専門性を持つ場合には、事業戦略の方向性に対する提案を行い、それに即した知財戦略を実施することも可能です。
デザインコンサルタントは、このようにデザインに関する基本的な機能を担うだけでなく、デザインの専門分野に応じた特徴を発揮します。
社会状況や技術が大きく変容する現代において、デザインコンサルタントには、幅広い見識を持ち、さまざまな分野の専門的要素を相互に調整しながら、人間的・社会的価値の視点から情報をまとめ上げ、関係者と共有し、実践へとつなげていくことが求められているのです。


ビジネスデザイン
社会、技術、経済が大きく変化する今日、企業や地域は従来の存在理由や価値を見直し、新たな存在理由や価値を創出・再構築するべき転換点を迎えています。言い換えれば、企業や地域が経営的に存続し続けるための新たな方向性を見出す必要があります。
この重要な課題へのソリューションとして、デザイン思考(人間的・社会的価値を出発点に価値を創出する方法)に基づき、新たな存在理由や価値を創出・再構築する「ビジネスデザイン」について研究し、その中核を成す要素をケーススタディから導き出しました。それが、「ビジネスデザイン」を成功に導くための「北斗七星理論」です。
「ビジネスデザイン」では、課題抽出、基本設計、詳細設計、決断・意思決定までの各段階がビジネス全体の価値創出を左右する重要な要素およびプロセスとなります。加えて、「人材・組織」「コミュニケーションデザイン」「将来性・展開性」は、創出された価値を最大化するために欠かせない要素です。これらにより、ビジネスに継続性や連続性が生まれ、ブランディングの成功確率も高まります。以下に、本理論の主要な要素を簡潔に説明します。
【北斗七星理論の要素】
0. 到達目標
企業の技術、営業、ノウハウ、人材などの経営資産を基盤に、企業の将来的な存在理由や存続の目的を設定します。地域経営においても同様のアプローチを取ります。
1. 課題抽出
企業が抱える問題や社会的(将来)課題から、開発の指針となる要素を抽出します。抽出した要素を深掘りすることで、アイデア創出の起点・軸が形成されます。
2. 基本設計
コンセプトを立案し、ビジネスの構造を設計します。事業に関与するプレイヤーが複数存在する場合には、連携方法や分野を定め、相互に利益をもたらす関係性を企画します。
3. 詳細設計
プロダクトやサービスのプロセス設計、技術開発、具体的なデザイン、知財戦略、収益獲得方法などを目論見書として具体化します。これらの情報は、関係部署や参加企業間で共有可能な範囲まで整理します。また、市場投入後の市場反応を踏まえ、柔軟な対応を可能にする設計が重要です。
4. 決断・意思決定
事業化の是非を決定します。誰がどの観点から決断・修正を行うかは、事業体質を左右する要素です。未知数のリスクを伴う事業への投資は、経営陣が到達目標を踏まえて決断すべき重要な事項です。この段階で意思決定のコミュニケーションが円滑に行われれば、詳細設計で確保された柔軟性が十分に活かされます。
5. 人材・組織
従来の縦割り型組織を超え、事業に必要な人材を横断的に編成するプロジェクトの試行を通じて、効率的な組織再編やプロジェクト型組織の普遍化を目指します。また、必要に応じて外部人材の招聘や企業間ネットワークの構築を促進し、事業成功の確度を高めます。
6. コミュニケーションデザイン
事業の意図や質を正確に伝え、ユーザーなどステークホルダーの信頼を醸成する役割を担います。特に、企業とユーザーが双方向でコミュニケーションできる設計が重要です。
7. 将来性・展開性
事業が企業や業界に与えた影響を分析し、今後の投資や展開プロセスの計画に対して柔軟な判断を行います。正確な分析と柔軟な意思決定が、事業の将来性を左右します。

